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今、大山の農産物はエノキ ダケをはじめ、ハーブや 野菜など新たな活路がどんどん広がっている
でも、やは り大山のシンボルであり住民の心に咲きつづけているのは 「梅」である。
4年前からこの町では、「梅干し日本一」 を決めるコンク ールを始めた。
今年はその第 2回(4年に1度開催)、全国 約1200点もの応募の中から、見事に1位に輝いたのは大山町
の矢野豊香さんだった。 「当然」と思われるが、 そうではない。第1回は群馬の人だった。
矢野さんは言う。 「30年前、家でも梅を作り 始めました。情熱や夢を持ってましたよ。でも、年がたつうちエ
ノキダケ に転換して、。梅への思いも 薄くなっていきました。これじゃやだ。あのころの夢にかけた思いをも
う一度取り戻したい・・・。そう思って、丹精して漬けて、応募したんです。
矢野さんの梅干は、色・風味・柔らかさとも文句の付けようがない出来映えだったという。
梅は布染めや器にも生まれ変わっている。矢野千恵子さんは梅の木屑を煮出して布を染め、ふきんや敷物
に仕上げる。 ほのかな紅が遠い日の花を思 わせる、優しい染めだ。古くなって切り倒した老木をくりぬいた
風雅な木の器も試作さ れている。どれも皆、人々が 梅をいとしむ気持ちから生まれたものだ。
大山には大
きな宿はない。 ここを旅行や見学で訪れた人は、民宿や普通の民家に止めてもらう。
家々では、そこの主
婦がつけた梅干や蜜漬などを振舞われる。皆、内心「私のが一番」と自負しているだろう。
きっとそうなのだ。
30年前、大山に植えられた梅は、今、人の心にしっかり根をおろしている。
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